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板橋第五中学校

目 次
1 板橋第五中学校の生徒数推移
2 早急な対応を要する規模
 (1)平成13年答申
 (2)板橋第五中学校の”早急な対応を要する規模”期間
3 適正規模の学校で期待される教育効果
4 板橋第五中学校の教育環境
 (1)人間関係
 (2)教育活動
 (3)学校運営
5 教育基本法16条3項違反、教育基本法5条3項違反
 (1)教育基本法16条3項違反
 (2)教育基本法5条3項違反

1 板橋第五中学校の生徒数推移

 平成10年から令和3年までの板橋第五中学校の生徒数推移は、下表のとおりである。
板橋第五中学校    在籍生徒数
年度 合計 1学年 2学年 3学年
学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数
平成10年 7 219 2 73 2 63 3 83
11年 6 190 2 53 2 74 2 63
12年 6 191 2 62 2 56 2 73
13年 6 183 2 61 2 64 2 58
14年 6 182 2 58 2 61 2 63
15年 6 167 2 50 2 56 2 61
16年 6 156 2 48 2 51 2 57
17年 5 135 1 35 2 48 2 52
18年 5 139 2 51 1 36 2 52
19年 5 130 2 42 2 52 1 36
20年 5 120 1 24 2 43 2 53
21年 4 103 1 33 1 26 2 44
22年 3 90 1 29 1 35 1 26
23年 3 89 1 26 1 28 1 35
24年 3 82 1 27 1 24 1 31
25年 4 100 2 44 1 29 1 27
26年 4 92 1 16 2 45 1 31
27年 4 79 1 18 1 16 2 45
28年 4 79 2 43 1 19 1 17
29年 4 104 1 37 2 46 1 21
30年 5 135 2 48 1 40 2 47
令和元年 5 123 1 36 2 46 2 41
2年 5 125 2 41 1 38 2 46
3年 5 132 2 51 2 42 1 39
 ※ 各年度5月1日現在に在籍した生徒を集計した。
 ※ 通常学級に在籍した生徒を集計した。

2 早急な対応を要する規模

(1)平成13年答申

 東京都板橋区立学校適正規模及び適正配置審議会は、平成13年3月に「東京都板橋区立学校の適正規模及び適正配置についてー答申ー」を板橋区教育委員会に提出した。(以下、平成13年3月「東京都板橋区立学校の適正規模及び適正配置についてー答申ー」を「平成13年答申」という。)
 平成13年答申は、早急に「通学区域の変更」、「学校の統合」を実施する必要がある小規模校の下限を”6学級以下で、児童生徒数150人以下”と明確に示し、”早急な対応を要する規模”とした。
 平成13年答申は、小規模校の下限、”早急な対応を要する規模”、”6学級以下で、児童生徒数150人以下”を設定した理由を、「小規模化が著しい場合には、規模の特性のデメリット部分が顕在化して、指導面や運営面の工夫、努力だけで対応していくことは、困難であると考える。よって、本審議会としては、適正規模実現に向けて、早急な対応を要する規模として、小規模校の下限を設けるものである。」とした。
 (ページ「審議会答申」、1)

(2)板橋第五中学校の”早急な対応を要する規模”期間

 板橋第五中学校は、平成17年から平成31年までの15年間、早急に「通学区域の変更」、「学校の統合」を実施する必要がある小規模校の下限、”早急な対応を要する規模”、”6学級以下で、児童生徒数150人以下”であった。
 特に、平成22年、平成23年、平成24年は、各学年単学級、全校学級数3であった。
 平成26年入学生徒数は16人、平成27年入学生徒数は18人であった。 

3 適正規模の学校で期待される教育効果 

 東京都板橋区立学校適正規模及び適正配置審議会は、平成24年3月に「東京都板橋区立学校の適正規模及び適正配置について(答申)」を板橋区教育委員会に提出した。(以下、平成24年3月「東京都板橋区立学校の適正規模及び適正配置について(答申)」を「平成24年答申」という。)(ページ「審議会答申」、2)
 平成24年答申は、教育上望ましい規模を、小学校は12学級から18学級(1学級あたり20人から30人)、中学校は12学級から15学級(1学級あたり30人から35人)とした。
 そして、「望ましい規模の学校においては、子どもたちが多様な人間関係の中で社会性や個性を伸長し豊かな人間性の基礎を培い、学力や体力を一層向上させるだけでなく、学校運営、教員の資質向上等の面でも様々な良さが発揮される」とした。(平成24年答申、5頁)
 板橋区教育委員会は、平成24年基本方針において、教育上望ましい規模を、小学校は12学級から18学級(1学級あたり20人から30人)、中学校は12学級から15学級(1学級あたり30人から35人)とし、適正規模の学校において期待される教育効果を人間関係、教育活動、学校運営の面から12項目あげた。(ページ「教育行政施策」、3(2))(平成24年基本方針、2頁・3頁) 

 <人間関係>

① クラス替えにより、多くの友だちとの関わりが生まれ、人間関係の固定化を防ぐ。
② 子ども同士の学び合いや関わり合いによって、社会性、向上心を養いやすい。
③ 多くの友だちと切磋琢磨すること等を通じて、人間性や協調性、たくましさ等を育みやすい。

 <教育活動>

④ 児童生徒数、教員数がある程度多いため、グループ学習や習熟度別学習など多様な学習・指導形態を取りやすい。
⑤ 授業において、多様な意見や考え方に触れたり、切磋琢磨することを通じて、資質や能力をさらに伸ばしやすい。
⑥ 専科教員(小学校)・教科教員(中学校)の配置増により、充実した教科指導の展開が期待できる。
⑦ クラブ・委員会・部活動の種類が増え、選択の幅が広がりやすい。
⑧ 運動会や学習発表会などの学校行事に活気が生じやすい。

 <学校運営>

⑨ 経験、特性などを考慮したバランスのとれた教職員配置を行いやすい。
⑩ 専科教員(小学校)・教科教員(中学校)の配置増により、教員同士で研修できる環境が生まれる。
⑪ 教員同士が指導内容や指導方法を日常的に交流することが可能となり、より学校や児童・生徒の実態に即した教育活
  動が展開される。
⑫ 校務分掌を分担することで、効率的な学校運営が図られ、教員が児童・生徒と向き合う時間や授業の準備のための時
  間を確保しやすくなる。

4 板橋第五中学校の教育環境

 板橋第五中学校の教育環境(人間関係、教育活動、学校運営)は、外の板橋区立学校より劣っていた。

(1)人間関係

         板橋第五中学校  在籍生徒数           
年度 合計 1学年 2学年 3学年
学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数
平成10年 7 219 2 73 2 63 3 83
11年 6 190 2 53 2 74 2 63
12年 6 191 2 62 2 56 2 73
13年 6 183 2 61 2 64 2 58
14年 6 182 2 58 2 61 2 63
15年 6 167 2 50 2 56 2 61
16年 6 156 2 48 2 51 2 57
17年 5 135 1 35 2 48 2 52
18年 5 139 2 51 1 36 2 52
19年 5 130 2 42 2 52 1 36
20年 5 120 1 24 2 43 2 53
21年 4 103 1 33 1 26 2 44
22年 3 90 1 29 1 35 1 26
23年 3 89 1 26 1 28 1 35
24年 3 82 1 27 1 24 1 31
25年 4 100 2 44 1 29 1 27
26年 4 92 1 16 2 45 1 31
27年 4 79 1 18 1 16 2 45
28年 4 79 2 43 1 19 1 17
29年 4 104 1 37 2 46 1 21
30年 5 135 2 48 1 40 2 47
令和元年 5 123 1 36 2 46 2 41
2年  5  125  2  41  1  38  2  46
3年 5 132 2 51 2 42 1 39
 ※ 各年度5月1日現在に在籍した生徒を集計した。
 ※ 通常学級に在籍した生徒を集計した。
 
  下記の年度に入学した生徒は単学級のため、中学校生活でクラス替えを経験しなかった。
  平成17年、平成20年、平成21年、平成22年、平成23年、平成24年、平成26年、平成27年、平成29年、令和元年、計10年間。
  外の年度の入学生は2学級であるから、クラス替えを実施しても、生徒の交流の幅は限られた狭い範囲であった。
  したがって、板橋第五中学校の人間関係の教育環境条件は、下記①ないし③のとおり、外の板橋区立学校より劣っていた。
① クラス替えが行われない、あるいは2学級間のクラス替えのため、多くの友だちとの関わりが生まれず、人間関係が固定化した
 。
  固定化した人間関係の中では、序列、上下関係が形成されることがある。また、序列、上下関係が形成されなくても、仲良しグ
 ループ、気の合う仲間は形成される。そして、グループに属さない生徒は、異質な存在として排除されたり、いじめの対象となる
 ことがある。
  板橋第五中学校は、多くの友だちとの関わりが生まれず、人間関係が固定化した。そして、固定化した人間関係の中では、序列
 、上下関係の形成、排除、いじめが起こり得た。
② 子ども同士の学び合いや関わり合いによって、社会性、向上心を養う教育環境条件が劣っていた。
  板橋区教育委員会が考える中学校の適正規模は12学級から15学級(1学級あたり30人から35人)である。一つの学年と
 しては、4学級から5学級の編制である。一つの学年が4学級から5学級の編制であれば、総合的な学習の時間、社会科見学、体
 験学習、学習発表会、奉仕活動などにおいて、子ども同士の学び合いや関わり合いによって社会性、向上心を養いやすい。
  しかし、板橋第五中学校は、平成17年から平成30年までの14年間のうち9年間の入学生は単学級であり、外の5年間の入
 学生は2学級であったから、子ども同士の学び合いや関わり合いによって社会性、向上心を養う教育環境条件が劣っていた。
③ 多くの友だちと切磋琢磨すること等を通じて、人間性や協調性、たくましさ等を育む教育環境条件が劣っていた。
  単学級あるいは2学級編制の学年体制では、運動会・マラソン大会などの体育的行事、奉仕体験活動などで、多くの友だちと切
 磋琢磨すること等を通じて人間性や協調性、たくましさ等を育む教育環境条件は、一つの学年が4学級から5学級編制の適正規模
 の学校に比べて劣る。
  したがって、板橋第五中学校は、多くの友だちと切磋琢磨すること等を通じて人間性や協調性、たくましさ等を育む教育環境条
 件が劣っていた。

(2)教育活動

〔平成24年、板橋第一中学校と板橋第五中学校の教員数、生徒数(通常学級のみ)〕
学校名  教員数 合計  1学年 2学年 3学年 
学級数 生徒数  学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数  生徒数
板橋第一中学校 24 14 476  4 136 5 179 5 161 
板橋第五中学校 14 82  27  24  31 
<新入学に関するご案内2012板橋区立中学校、10頁・11頁>

 板橋第五中学校の教育活動のための教育環境条件は、下記④ないし⑧のとおり、外の板橋区立学校より劣っていた。
④ 生徒数、教員数が少ないため、グループ学習や習熟度別学習など多様な学習・指導形態を取る教育環境条件が劣っていた。
  グループ学習や習熟度別学習を行うためには、一学級内の生徒数、教員数がある程度以上いることが必要である。
  平成24年板橋区立中学校のうち板橋第五中学校と向原中学校は、全校学級数3、教員数14人であり、外の板橋区立中学校の
 生徒数、教員数と比べて極端に少なかった。
  したがって、板橋第五中学校は、生徒数、教員数が少ないため、グループ学習や習熟度別学習など多様な学習・指導形態を取る
 教育環境条件が劣っていた。
⑤ 授業において、多様な意見や考え方に触れたり、切磋琢磨することができないため、資質や能力を伸ばす教育環境条件が劣って
 いた。
  板橋第五中学校は、平成17年から平成30年までの14年間のうち9年間の入学生は単学級、外の5年間は2学級編制であっ
 た。単学級編制の学年は、中学校3年間を同じメンバーの生徒と過ごすことになる。2学級編制の学年も、生徒の交流の幅は狭い
 。狭く固定化した人間関係の中では、意見や考え方も固定化し多様性は生まれにくい。また、狭く固定化した人間関係の中では、
 切磋琢磨は起こりにくい。
  したがって、板橋第五中学校は、授業において、多様な意見や考え方に触れたり、切磋琢磨することができないため、資質や能
 力を伸ばす教育環境条件が劣っていた。
⑥ 教科教員(中学校)の配置が少ないため、充実した教科指導のための教育環境条件が劣っていた。
  教科教員(中学校)の配置は、学級数に応じて行われる。板橋第五中学校の教科教員数は、学級数が12学級から15学級ある
 適正規模の学校と比べると少なかった。平成24年度の比較では、板橋第五中学校14人、板橋第一中学校24人である。
  したがって、板橋第五中学校は、教科教員(中学校)の配置が少ないため、充実した教科指導のための教育環境条件が劣ってい
 た。
⑦ クラブ・委員会・部活動の種類が少なく、選択の幅が狭かった。
  クラブ・委員会・部活動の種類は、生徒数、教員数の影響を受ける。
  下表は、平成24年度、板橋第一中学校と板橋第五中学校に開設された部活動である。学級数が12学級から15学級の適正規
 模の板橋第一中学校の部活動数は19、板橋第五中学校は6である。
  したがって、板橋第五中学校は、クラブ・委員会・部活動の種類が少なく選択の幅が狭かった。 
〔平成24年、板橋第一中学校と板橋第五中学校の部活動数〕
学校名 開設された部活動 部活動数
板橋第一中学校 陸上競技、バレーボール、バスケットボール、野球、ソフトテニス、卓球、剣道、サッカー、バドミントン、ダンス
吹奏楽、演劇、華道、茶道、自然科学、読書、模型、技術、生活家庭
19
板橋第五中学校 バスケットボール、ソフトテニス、バドミントン、
吹奏楽、茶道、模型
<新入学に関するご案内2012板橋区立中学校、9頁>
⑧ 運動会や学習発表会などの学校行事の活気が乏しかった。
  板橋第五中学校の平成17年から平成30年までの14年間は、すべての学年が2学級となることはなかった。少なくとも一つ
 の学年は単学級であった。そのため、運動会は、一つの学年を2つに分けて全校縦割り体制にして、紅白で競うことになった。単
 学級の学年は学級を二つに分けて紅白とし、2学級体制の学年はそれぞれの学級を紅白に分けた。
  全校縦割り体制の紅白で競う運動会は、同一年齢の学級同士で競うことができないため、切磋琢磨及び活気の点で劣った。
  同様に、文化祭、学芸会、合唱コンクール、作品発表会、学習発表会なども、生徒数が少ないため、適正規模の学校と比べて切
 磋琢磨及び活気の点で劣った。
  したがって、板橋第五中学校は、運動会や学習発表会などの学校行事の活気が乏しかった。

(3)学校運営

〔平成24年、板橋第一中学校と板橋第五中学校の教科別教員数(通常学級のみ)〕
学校名 国 語 社 会 数 学 理 科 音 楽 美 術 保 体 技 術 家 庭 外国語  計 
板橋第一中学校  3 3(1) 4 3 1 1 4(2) 1 1 3  24(3)
板橋第五中学校 1 2 2 1(1) 1(1) 2(1) 1(1) 1(1)  14(5)
         * 教員数の( )は内数で、非常勤教員や時間講師の数を表している。
<新入学に関するご案内2012板橋区立中学校、10頁>

 板橋第五中学校の学校運営のための教育環境条件は、下記⑨ないし⑫のとおり、外の板橋区立学校より劣っていた。
⑨ 経験、特性などを考慮したバランスのとれた教職員配置を行う教育環境条件が劣っていた。
  板橋第五中学校の教員数は14人、うち5人は非常勤教員または時間講師であるから、常勤教員は9人である。適正規模の板橋
 第一中学校の教員数は24人、うち3人は非常勤教員または時間講師であるから、常勤教員は21人である。
  板橋第五中学校の常勤教員数は、板橋第一中学校の常勤教員数の半分以下である。したがって、板橋第五中学校の教員配置は、
 板橋第一中学校の教員配置と比べて経験、特性などを考慮してバランスのとれたものにすることは困難である。
  板橋第五中学校は、経験、特性などを考慮したバランスのとれた教職員配置を行う教育環境条件が劣っていた。
⑩ 教科教員(中学校)の配置が少ないため、教員同士で研修する教育環境条件が劣っていた。
  板橋第五中学校の教員数は14人、板橋第一中学校の教員数は24人であるから、教員同士で研修する教育環境条件は板橋第一
 中学校の方がはるかに優れていた。
  板橋第五中学校は、教科教員(中学校)の配置が少ないため、教員同士で研修する教育環境条件が劣っていた。
⑪ 教員同士が指導内容や指導方法を日常的に交流することができず、学校や児童・生徒の実態に即した教育活動を行う教育環境条
 件が劣っていた。
  板橋第五中学校は、音楽科、美術科、技術科、家庭科の常勤教員がいなかった。社会科、保体科、外国語科の教員は1人であっ
 た。したがって、10教科中7教科(社会科、音楽科、美術科、保体科、技術科、家庭科、外国語科)の教員は、指導内容や指導
 方法について日常的に交流する教員がいなかった。
  板橋第五中学校は、10教科中4教科は常勤教員がおらず、3教科は常勤教員が1人であるから、教員同士が指導内容や指導方
 法を日常的に交流することができず、学校や生徒の実態に即した教育活動を行う教育環境条件が劣っていた。
⑫ 校務分掌の負担が大きく、効率的な学校運営が図られず、教員が児童・生徒と向き合う時間や授業の準備のための時間を確保す
 る教育環境条件が劣っていた。
  常勤教員数9人の板橋第五中学校は、常勤教員数21人の板橋第一中学校と同様に、教務主任(1人)、生活指導主任(1人)、学年
 主任(3人)、進路指導主任(1人)、保健主任(1人)の必置主任、研究主任(1人)、道徳教育推進委員(1人)を配置しなければならない。
 必置主任は7人、外の主任も含めると9人である。主任9人が板橋第五中学校教員10人(常勤教員9人+養護教諭1人)に占める
 割合は0.90である。同様に、主任9人が板橋第一中学校教員22人(常勤教員21人+養護教諭1人)に占める割合は0.40である。
 板橋第五中学校は10人に9人、板橋第一中学校は5人に2人が主任を引き受けることになる。板橋第五中学校は、適正規模の学
 校に比べて主任を引き受ける教員の割合が大きい。
  全校学級数3の板橋第五中学校は、全校学級数14の板橋第一中学校と同様に、運動会、文化祭、合唱コンクール、修学旅行な
 どの学校行事及び学年行事を実施する。中学校の行事は学年単位で準備することが多い。板橋第一中学校は一つの学年に7.3人の
 教員が配置され、板橋第五中学校は3.3人である。板橋第五中学校は、板橋第一中学校の半分以下の教員で学校行事及び学年行事
 の準備、実施、まとめを行わなければならない。
  以上のとおり、板橋第五中学校は、主任、学校行事・学年行事の負担が大きく、効率的な学校運営のための教育環境条件が劣っ
 ていた。
  さらに、板橋第五中学校の社会科、外国語科の教員は1人であるが、板橋第一中学校の社会科、外国語科の教員は3人である。
 板橋第五中学校の国語科、数学科、理科の教員は2人であるが、板橋第一中学校の国語科、理科の教員は3人、数学科は4人であ
 る。
  同教科の教員が3人以上いれば、1人の教員が一つの学年の授業を担当することができる。しかし、同教科の教員が1人しかい
 なければ、1人で三学年分の授業を行わなければならない。社会科の場合は、1人で全く分野の異なる地理、歴史、公民の授業を
 行わなければならない。同教科の教員が2人の場合は、2人で三学年分の授業を分担して行わなければならない。板橋第五中学校
 は、同教科の教員が3人以上いる教科はなかったので、1人の教員が授業の準備、実施、まとめに要する時間と労力は板橋第一中
 学校より多くかかった。
  したがって、板橋第五中学校は、校務分掌の負担、授業の負担が大きく、教員が児童・生徒と向き合う時間や授業の準備のため
 の時間を確保する教育環境条件が劣っていた。

5 教育基本法16条3項違反、教育基本法5条3項違反

 板橋区が、小規模校の下限“6学級以下で児童生徒数150人以下”、“早急な対応を要する規模”、かつ板橋区が主張する教育上望ましい規模を大きく下回る板橋第五中学校に教育行政施策(通学区域の変更、学校の統合)を実施せず、同校の教育環境を劣悪な状態に放置したことは、教育基本法16条3項、教育基本法5条3項に反する。
*教育基本法16条3項
 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならな
 い。
*教育基本法5条3項
 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責
 任を負う。
 板橋区は、教育の振興を図るため教育に関する施策を策定して実施する義務を負う。(教育基本法16条3項)
 東京都板橋区立学校適正規模及び適正配置審議会は、平成13年答申において「小規模化が著しい場合には、規模の特性のデメリット部分が顕在化して、指導面や運営面の工夫、努力だけで対応していくことは、困難であると考える。」(10頁)として、小規模校の下限を“6学級以下で児童生徒数150人以下”とし“早急な対応を要する規模”とした。そして、“早急な対応を要する規模”の学校には、教育行政施策として「通学区域の変更と学校の統合が考えられる。」(13頁)とした。(ページ「審議会答申」、1)
 板橋第五中学校は、平成17年から平成31年までの15年間、平成13年答申が示した小規模校の下限“6学級以下で児童生徒数150人以下”、“早急な対応を要する規模”であった。板橋第五中学校は、平成17年から平成31年までの15年間、全ての学年が2学級となることはなく、全校学級数は5学級以下であった。特に、平成22年、平成23年、平成24年は全学年単学級、全校3学級であった。平成26年新入生は16人、平成27年新入生は18人であった。
 しかし、板橋区は、平成17年から平成31年までの板橋第五中学校に対して教育行政施策(通学区域の変更、学校の統合)を実施せず、同校を“早急な対応を要する規模”の状態に放置した。
 板橋区教育委員会は、平成24年基本方針において、教育上望ましい規模を、中学校は12学級から15学級(1学級あたり30人から35人)とした。(ページ「教育行政施策」、3(2))(平成24年基本方針、2頁・3頁)
 平成17年から平成31年までの板橋第五中学校は、板橋区教育委員会が主張する教育上望ましい規模を大きく下回っていた。板橋区は、教育上望ましい規模を大きく下回る板橋第五中学校に教育行政施策(通学区域の変更、学校の統合)を実施せず、同校の教育環境を劣悪な状態に放置した。
 よって、板橋区長石塚輝雄、同区長坂本健は、教育基本法16条3項に違反した。
        板橋第五中学校  在籍生徒数        
年度 合計 1学年 2学年 3学年
学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数
平成10年 7 219 2 73 2 63 3 83
11年 6 190 2 53 2 74 2 63
12年 6 191 2 62 2 56 2 73
13年 6 183 2 61 2 64 2 58
14年 6 182 2 58 2 61 2 63
15年 6 167 2 50 2 56 2 61
16年 6 156 2 48 2 51 2 57
17年 5 135 1 35 2 48 2 52
18年 5 139 2 51 1 36 2 52
19年 5 130 2 42 2 52 1 36
20年 5 120 1 24 2 43 2 53
21年 4 103 1 33 1 26 2 44
22年 3 90 1 29 1 35 1 26
23年 3 89 1 26 1 28 1 35
24年 3 82 1 27 1 24 1 31
25年 4 100 2 44 1 29 1 27
26年 4 92 1 16 2 45 1 31
27年 4 79 1 18 1 16 2 45
28年 4 79 2 43 1 19 1 17
29年 4 104 1 37 2 46 1 21
30年 5 135 2 48 1 40 2 47
令和元年 5 123 1 36 2 46 2 41
 2年  5  125  2  41  1  38  2  46
3年 5 132 2 51 2 42 1 39
 ※ 各年度5月1日現在に在籍した生徒を集計した。
 ※ 通常学級に在籍した生徒を集計した。

(2)教育基本法5条3項違反

 板橋区は、義務教育の機会を保障しその水準を確保する義務を負う。(教育基本法5条3項) 
 板橋区教育委員会は、平成24年基本方針において、教育上望ましい規模の学校では人間関係、教育活動、学校運営の12項目において教育効果が期待されるとした。(ページ「教育行政施策」、3(2))(平成24年基本方針、2頁・3頁)
 しかし、板橋第五中学校は、平成17年から平成31年までの15年間、平成13年答申が示した小規模校の下限“6学級以下で児童生徒数150人以下”、“早急な対応を要する規模”であり、かつ板橋区教育委員会が主張する教育上望ましい規模(中学校は12学級から15学級)を大きく下回っていたので、下記①ないし⑫のとおり、外の板橋区立学校と比べて教育環境条件が劣っていた。
(前記4、板橋第五中学校の教育環境)
① クラス替えが行われない、あるいは2学級間のクラス替えのため、多くの友だちとの関わりが生まれず、人間関係が固定化した
 。
② 子ども同士の学び合いや関わり合いによって、社会性、向上心を養う教育環境条件が劣っていた。
③ 多くの友だちと切磋琢磨すること等を通じて、人間性や協調性、たくましさ等を育む教育環境条件が劣っていた。
④ 生徒数、教員数が少ないため、グループ学習や習熟度別学習など多様な学習・指導形態を取る教育環境条件が劣っていた。
⑤ 授業において、多様な意見や考え方に触れたり、切磋琢磨することができないため、資質や能力を伸ばす教育環境条件が劣って
 いた。
⑥ 教科教員(中学校)の配置が少ないため、充実した教科指導のための教育環境条件が劣っていた。
⑦ クラブ・委員会・部活動の種類が少なく、選択の幅が狭かった。
⑧ 運動会や学習発表会などの学校行事の活気が乏しかった。
⑨ 経験、特性などを考慮したバランスのとれた教職員配置を行う教育環境条件が劣っていた。
⑩ 教科教員(中学校)の配置が少ないため、教員同士で研修する教育環境条件が劣っていた。
⑪ 教員同士が指導内容や指導方法を日常的に交流することができず、学校や児童・生徒の実態に即した教育活動を行う教育環境条
 件が劣っていた。
⑫ 校務分掌の負担が大きく、効率的な学校運営が図られず、教員が児童・生徒と向き合う時間や授業の準備のための時間を確保す
 る教育環境条件が劣っていた。
 板橋区は、平成17年から平成30年までの14年間、板橋第五中学校の教育水準を外の板橋区立学校より劣る状態に放置した。
 よって、板橋区長石塚輝雄、同区長坂本健は、教育基本法5条3項に違反した。


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